
六甲ウィメンズハウス概要
六甲ウィメンズハウスとは?

六甲ウィメンズハウスは、”住宅取得が困難なシングルマザー、若年女性、女性の学生や留学生、単身女性が、「ここにしか住めない」ではなく、「ここに住みたい」と思える住まいを”という想いから始まった、さまざまな女性たちのためのコレクティブハウスです。
DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害は日本の場合、加害者は処罰されず、被害者である女性たちが仕事もコミュニティも捨てて子連れで遠隔地に引っ越すというケースが多く、せっかく暴力から逃れても、その後、孤立と貧困に苦しんでいる女性が少なくありません。


「暴力か貧困か」ではなく、他者と繋がることで安心や信頼が育ち、困難を抱える女性たちが自信や未来への希望を持てるような場所をめざして、六甲ウィメンズハウスでは、これまで「ウィメンズネット・こうべ」が行ってきた支援の経験や他機関との連携を活かし、心のケアや就労、食料、学習支援など、その後の生活再建を応援したいと思っています。
私たちが目指す支援
住宅取得が困難なシングルマザー、若年女性、女性の学生や留学生、単身女性へ、清潔・安全・健康・文化的な住まいの提供
困難を抱える女性たちが「ここにしか住めない」ではなく、「ここに住みたい」と思える住まいを提供します。
孤立しがちなシングルマザーの虐待防止や、子どもたちの健全育成へのサポート
地域で孤立しがちなシングルマザーの子どもたちにとって、多世代の人たちと共に暮らすことは互いに大きな学びになります。
私たちは長年の支援の現場を通して、信頼できる大人と出会うことが子どもたちの心身の健やかな成長に大きく影響することを実感してきました。特に、留学生や学生といった親でも先生でもない人たちとの出会いは、経験の少ない子どもたちの世界観を広げることにつながります。
相談や、食料支援、学習支援、就労支援などの経済的自立をめざしたサポート
六甲ウィメンズハウスでは、女性支援の経験のあるスタッフが常駐しています。
学習室やシェアオフィスなどの共有スペースを設け、子どもだけでなく、ステップ・アップをめざす女性たちも学習支援が受けられるようにしていきます。
また、支援者が常駐している環境で生活することにより、女性たちが困ったときは心理的なケアを受けられることもできます。
ハウス内に設置する交流スペースやキッズスペースを地域に開放することで、入居者同士・地域住民との情報交換や交流の場をつくる
多様な世代や環境の女性たちが共に暮らす中でつながりが生まれ、孤独で不安な状況が安心・信頼できる状況に変わります。そして、困難を抱える女性たちが自信や未来への希望を持てるようになることが期待されます。
また、六甲ウィメンズハウスでは、イベントなどを通じて、さまざまな形で地域住民やご支援の気持ちを持ってくださる人たちとの関わりも持とうとしています。
設立の背景
六甲ウィメンズハウスの運営に関わる「ウィメンズネット・こうべ」は、さまざまな困難に直面する女性やその子どもたちの支援を長年にわたって行ってきました。特に地域で孤立しがちなシングルマザーの居場所づくりに力を入れてきました。
2019年には居住支援法人の資格を取り、保証人がいない、所持金が少ない、子連れであるなど、さまざまな理由から住宅取得が困難な女性を対象に家探しを手伝い、その後の心の回復や経済的自立へのサポートなども行っています。
安心安全な住まいを得ることは、精神的な安定、その後の就学・就労に繋がります。しかしながら、団体が支援している女性やシングルマザーの中には、保証人がいない、低収入や所持金が少ない、子連れであることを理由に、狭くて古く、日当たりも悪い「ここにしか住めないのか」とため息がでるような物件を紹介されるケースも少なくありません。
女性をとりまくそのような日本の住宅状況に直面する中、代表の正井は、2010年に居住福祉を考える研究者とともに訪問したデンマークで、女性と子どものための家を見学しました。外観は古い建物ですが、内部はデザイナーズマンションのように美しく、広いリビング、プレイルームやカウンセリングルーム、キッチン、家具に至るまで、すべてがほんとうに素敵な空間でした。
困難を抱える女性たちが「ここにしか住めない」ではなく、「ここに住みたい」と思える住まいを作りたい。六甲ウィメンズハウスは、その思いから始まりました。帰国してから、「夢のウィメンズハウスをつくろう!」と、阪神間の企業に向けて「休眠施設があれば、私たちに提供してもらえませんか」というチラシをいろいろなところで配布しました。
そのようなことを始めてから10年が経ったころ、以前から食糧支援を通して繋がりのあった「協同組合コープこうべ」さんから、旧女子寮を使いませんか?というお話がありました。
その後、外国人留学生や学生も、特にコロナ禍以降は生活に困窮しているという現状があり、さまざまな背景を持つ女性たちが共に暮らす「相互扶助のコミュニティ」をつくろうと、「公益財団法人神戸学生青年センター」と共同で本事業を行うことになりました。
本プロジェクトは、より良い社会や仕組みづくりに向けて、大きな社会的インパクトが期待できる革新的な事業です。開設後の持続的な運営のためにも、私たちの活動にご賛同いただけるみなさまからの温かいご支援をお待ちしております。
これからの社会への影響
多様な世代・生活環境の女性たちによる、新たな互助居住モデルの提示
多様な世代・生活環境の女性たちが、居住空間をシェアする生活の中で生まれる様々な問題を解決していくことで、世の中に新たな互助居住モデルの提示ができます。
民間事業者によるストック活用・リソース活用の新たな選択肢へ
「六甲ウィメンズハウス」の建物は、地元企業である生活協同組合コープこうべで昔、女子寮として使われていた施設です。
低額所得者、高齢者、シングルマザー(または母子)など、住宅の確保に配慮を要する人たちへの住宅提供は、全国的に難しい状況があります。
その中で、今回の六甲ウィメンズハウスのように既存の休眠施設を活用することは、民間事業者による空きビル・旧社員寮などの新たなストック・リソース活用モデル、市営住宅などのリノベーションモデルとなるほか、企業におけるCSRの取り組みの選択肢・可能性を広げることにもつながります。この事業が困難を抱える女性や子どもへの支援に繋がるという実績を示すことで、社会貢献に繋がる建物の提供や改修・リノベーションがすすむモデル事業にしたいと考えています。
シングルマザーへの優良な住居提供による、子どもたちの健やかな成長
特にシングルマザーへの優良な住居提供は、女性の社会的自立の促進に留まらず、子どもたちの健やかな成長に大きく影響します。こうした公益性のある活動は他に見られないので、次世代を健全に育むという意味でも大切にしていきたい事業です。
運営体制
六甲ウィメンズハウスは、2023年から「認定NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ」と「公益財団法人神戸学生青年センター」が「六甲ウィメンズハウス運営協議会」として共同で運営を行っています。
運営団体のご紹介
認定NPO法人女性と子ども支援センター
ウィメンズネット・こうべ
1992年に発足以降、女性や子どもが安心してのびやかに自分らしく生きられる社会を目指し活動しています。
ウィメンズネット・こうべの事業
- 相談事業(電話相談、メール相談、面接相談)
- 民間DVシェルター、ステップハウス運営
- 同行支援、家庭訪問支援
- 居住支援
- 困難を抱える女性やシングルマザーと子どもの居場所(WACCA運営)
- DV・デート DV 防止教育事業

代表理事
正井 禮子
公益財団法人神戸学生青年センター
1955年に米国南長老教会が青年伝道をめざして設立した「六甲キリスト教学生センター」が、1966年に日本基督教団兵庫教区に委譲されました。1969年11月、「学生センタービル建築準備委員会」が設置され、その後1972年4月、新会館がオープン。「財団法人神戸学生青年センター」としての活動が開始。
数々のセミナーなどを行い、阪神淡路大震災を経た後も宿泊などを受け入れてきた旧センターでしたが、建物の老朽化による建て替えに伴い、2021年に現在の場所に移転。「開かれた出会いの場」として長年にわたり活動を展開しています。
神戸学生青年センターの事業
- セミナー活動
- 日本語ボランティア教室運営
- 留学生への奨学基金事業
- 古本市事業

館長
朴 淳用